「街角ゲリラ就活支援」ってなんだ?謎の自転車男にせまる!

田辺拓也

「当たり前」を教えているだけ。

本誌 それでも決まっていない学生は、不安だし、めちゃくちゃ焦っていませんか?

「キャリぷら」では、具体的にはどんなアドバイスをされるんですか?

田辺 うまくいかない学生ほど、他責、いわゆる環境のせいにする傾向があるんです。しくみが悪い、エントリーシートが悪い・・・もちろん現在の新卒採用のしくみには問題点は多い。でもそれを批判しても何も変わらないんです。現状をあるがままに受け入れていくしかない。だから、とくにテクニカルな話はあまりせずに、一人ひとりに対して客観的な事実をフィードバックすることに徹するようにしています。。それによって、自分自身が何かに気がついて、自分を磨いていくことに繋がればいいなと思っています。
あとは、知識や経験の量からして学生はどうしても視野が狭くなりがちな傾向がありますから、この判断で本当にいいのか?と自分で考えるための材料を提供することはありますね。

本誌 たとえば

田辺 業界に固執している学生には、職種という視点を加えてみるとか。たとえばどんな会社に行っても、営業は営業、企画は企画。実際にやる仕事はあまり変わらない。あとは有名・無名より会社の沿革から見て取れる社風などにも注目してほしいと話しています。例えば通信会社。ドコモはNTTから派生した会社。ソフトバンクは孫さんがJフォンを買収して作った会社。KDDIは民間からうまれ「野武士」と揶揄されたDDIが、国に近いところで国際電話をやっていて「公家」といわれたKDDを実質吸収合併した会社。会社成立の経緯が全く異なりますよね。こういった点に、社風は反映されていると僕は思うんです。

本誌 なるほど。他にはどんなアドバイスをされていますか?

田辺 いわゆる「当たり前」のことをよく指摘したりはします。面接のテクニックを磨いても、その後の社会人生活に何の役にも立たないですからね。それよりも、自分で食べたものは、自分で片付けようとか、ゴミが落ちていたらひろおうとか・・・。

本誌 えっ?それが就活とどう関係があるのですか?

田辺 これらは人と人が関わって生きていくうえで、とっても大切なことですよね。。僕は、こういう当たり前のことができるかどうかって、面接の場面でも差が出るんじゃないかと考えています。でも、これって、「できない」ことじゃなくって、「やらない」か「知らない」かなんですね。しかも、最近の若い世代の場合、たいていは「知らない」だけのことが多い。知らないだけだから、キャリぷらに通う学生たちは、来客者に当たり前のように自分から挨拶しにいくようになることが多いね。

本誌 「就活のため」というより、人として大切なことを学ぶ場なんですね。

 

一人ひとりが「自分の最適解を見つけること」

田辺 [キャリぷら]を始めたころは「自分が教えられる!自分が伝授してうまくいかせられる!」と思っていました。今から思えば、相当未熟でしたね(笑)。

本誌 なぜその考えは変わったのでしょうか。

田辺 人は人を変えることはできない。絶対無理です。きっかけになりうる機会をたくさん用意することしかできない。私の発言だって、所詮地球人口60億分の1の経験と価値観が元になっているだけだから、全部が正解かもしれないし、全部間違いかもしれないんです。

本誌 実際に数多くの学生と関わってきて、就活生にたいする印象も変わりましたか?

田辺 今の学生は物質的にも恵まれているから、働く理由が分からなかったり、働く意欲がわかなかったりするのは、ある意味当然だと思っています。正直言えば「甘い」んですが、なるべくしてそうなっているという側面がある。ただそのままじゃ困るのは自分だから、そこは変えなきゃいけないと思っていました。でも、その考えはなくなりましたね。

本誌 どうしてですか?

田辺 この仕事をはじめたころはそういう思いで、教えてやろう、変えてやろうと、肩にチカラが入りすぎていた部分もありました。でもたくさんの学生たちと接していくにしたがって、、だんだん別の考えも加わってきました。今までの世代と違う環境で生きている彼らだからこそ、今までの世代にできなかったことができる可能性を秘めている子達なんじゃないかな。そう強く思うようになりましたね。

本誌 普通就活中の学生って、友だちでもなんだかライバルみたいで、ギスギスしちゃうでしょう。でも[キャリぷら]をのぞいてみると、内定をとった学生も、まだの学生も、みんな当たり前のようにわいわいしている。まるで部室みたいだなと感じました。

田辺 就活はゲームでも戦いでもなくて、学生一人ひとりが「自分の最適解を見つける」機会。だからひとりひとり、違っていいんです。「全員正解」なんです。[キャリぷら]開設から3年目ですが、ここでの活動を通して、大切な友人を見つけたという人が多い。そう言ってもらえるのが一番嬉しいんです。これからもそんな「人と人、人と社会が関わる場」を作っていきたいと思います。今回、キャリぷら東京開設にともなってあらたにつくった新たなキャッチコピー「社会と未来の入口」には、そんな思いも込もっているんです。

 

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