新しい採用3(介護・育児事業)株式会社ソラスト

面接での質問を事前に予告!?

入社後のミスマッチをなくすためにとった方法とは。

入社後のミスマッチをなくそうと、採用の現場で独自の取り組みをおこなっている企業がある。「医療・福祉分野で人を元気にする会社」株式会社ソラストだ。

同社では、学生が自社の良い面も悪い面も理解した上で、覚悟を持って入社できるよう、あえて面接の質問内容を予告するという。そこにはどのような想いがあるのか。採用担当の藤咲朋典氏にお話をうかがった。「二次面接では『なぜこれだけの仕事がある中で、あえて介護職を選ぶのか』を突っ込んで聞いています。一次面接の際学生には、『次の選考に進んだら、なぜ介護職を選んだのかを深く聞くから、きちんと考えておいてね』と予告をするようにしています」と藤咲氏。

「介護業界は“人の役に立つ仕事”という簡単な理由だけで、とりあえず応募する学生も多いんです。それが悪いということではありませんが、ふたを開けてみたら、『介護職ってこんなことまでするの?』ということは結構ある。“人の命にかかわる仕事”ということまでを理解している学生が非常に少ないと感じています。だからこそ介護の仕事がどんなものなのか正しく理解した上で、再度動機形成をしてもらう必要があります」

面接を担当した学生には、必ずフィードバックを行う。

一般的には、面接に対策や準備をされないようにするものだが、同社の場合、仕事に対する理解を深めてもらうために、あえて面接の内容を公開している。しかも、ただ質問を予告するだけではない。

「私の場合は、その考え方まで話してしまいます。だって『どうして介護職なの?』って、教科書通りに話そうと思えば、いくらでも話せるんですよ。『高齢化社会の日本において、人のために何かしたい』と。薄っぺらな台本ができてしまう。だから、『本当に自分が介護をしたいのかを、もう一回考えた上で、それを全部書き出してみて。その中で本音の部分を整理して考えてみよう』ということはよく言いますね」。

そこまで伝えた上で、学生が自分の頭で考えて、自分の言葉で語れるかどうか、同社で働く覚悟があるかどうかを見るのだという。

面接を担当した学生には、必ずフィードバックを行うということも藤咲氏のこだわりのひとつだ。合否は抜きにして、面接後その場ですぐに、話してみて感じたこと、良かった点、悪かった点を説明する。

「面接に落ちるって、やっぱりショックですよね。それを引きずったまま次に進むことは、絶対良くないと思っています。面接の中で一つでも学びがあれば、次につながっていく。面接では、失敗した時に何を失敗したのかが、自分の尺度ではわかるけれど、他人の尺度ではわからないんですよね。企業によって評価の尺度も違いますし」。

学生に面接のフィードバックを行うことは、藤咲氏が採用担当に就任した8年前から、当然のこととして取り組んできたそうだ。

自分がしてきたことや考えてきたことに対して、自信を持って話をしてほしい。

「自分のスタイルとして、新卒の採用面接ではそこまでやるべきだと考えています。ダメなものはダメとはっきり言ってしまうので、中には嫌な顔をする学生もいます。でも、無言ですっぱり終わりではなく、良い点・悪い点をちゃんと伝えるべきだと思っています。それも、採用・不採用、合格・不合格という評価ではなくて。それがなければ、何が悪いのか本人はいつまでもわからないままで終わってしまう。新卒採用とは、若者を社会に送り出す役割も担っていると思うんです。ソラスト藤咲としてだけでなく、ひとりの採用担当藤咲として、これだけは続けたいとずっと思っているところですね」。

藤咲氏の並々ならぬ熱意がうかがえる。最後に、これから面接に臨む学生に向けて、エールをお願いした。「自分がしてきたことや考えてきたことに対して、自信を持って話をしてほしいですね。だけど、一見きれいにまとまっていても、誰かから借りてきた言葉では意味がない。その裏にあるものは何?自分の想いは何?という部分をきちんと語れるようになってほしい。それは絶対、社会人になった時でも、問われることですからね。自分の仕事に誇りを持って語れる社会人はみんな、イキイキと働いていますよね」。

そう語ってくれた藤咲氏も、誇りを持って自分の仕事を楽しそうに語る社会人の一人だ。学生にとっては、藤咲氏との対話によって明確になった軸が、入社した後も大切な支えとなっているに違いない。